概要
2022年の日本の野菜生産において、キャベツが最大の生産量1.46百万トン(Mt)を記録しました。これに続く野菜は、長ねぎや大根などであり、キャベツはその安定した需要と広範な栽培地域に支えられています。特にキャベツは、全国的に栽培されるため、土地利用も広範囲にわたります。その他、トマトの用途別生産量では、加工用トマト(ソースやケチャップ用)の需要も増加傾向にありますが、生食用が依然として主流であり、用途ごとの生産割合は地域による差異も見られます。また、日本の野菜生産は、季節や気候変動に影響を受けやすい特徴があります。特に温暖化に伴い、夏の高温が生産に影響を与える一方、温暖な気候で栽培可能な野菜の種類が増加しており、地元消費や輸出向けに多様な品種の栽培が進んでいます。トマトやナス、ピーマンなどの作物は、需要の増加に対応するために特定地域での集中的な栽培が行われ、土地利用の効率化が進んでいます。今後は、持続可能な農業の推進や省力化技術の導入により、生産効率の向上が期待されます。
生産(野菜別)
1961年から2022年の日本の野菜生産データを振り返ると、1968年にキャベツの生産量が3.38百万トン(Mt)とピークを記録しました。しかし、その後キャベツの生産量は減少し、2022年にはピーク時の43.2%にあたる1.46百万トンにとどまっています。この減少は、消費者の嗜好の変化や生産効率の向上、農業の構造変化などが影響しています。特に、キャベツの生産量減少の背景には、代替品となる野菜(例えばレタスや白菜)の需要増加や、都市化の進展に伴う農地の減少が挙げられます。また、消費者の食生活の多様化や輸入品の増加も影響を与えたと考えられます。加えて、農業従事者の高齢化や後継者不足、作業効率化の必要性も生産量の減少を加速させました。一方で、その他の野菜、例えばナスやトマトなどの生産は比較的安定しており、特に加工用トマトの需要増加により、一定の生産拡大が見られます。また、近年では環境への配慮から、持続可能な農業技術の導入が進み、生産性向上が図られています。キャベツの生産減少は、野菜生産の多様化と効率化の一環として捉えることができます。
全体の最大はキャベツの3.38Mt[1968年]で、現在の値はピーク時と比べ43.2%
産出量(野菜別)
日本全体の野菜の産出量(野菜別)のデータを見ると、キャベツは2006年に70.1トン/ヘクタール(t/ha)という最高の単収を記録しましたが、その後は減少傾向にあり、現在はピーク時の61.3%となる約42.9トン/ヘクタールにとどまっています。この変動の背景には、農業技術や栽培方法の進化と、それに伴う生産環境の変化が影響しています。2000年代初頭のキャベツの高い産出量は、品種改良や栽培技術の向上、また農業機械の普及により、効率的な生産が可能になったことが要因と考えられます。しかし、その後の減少は、農地面積の縮小や農業従事者の高齢化、さらには気候変動の影響を受けた栽培条件の不安定さが影響しています。特に、干ばつや豪雨といった極端な気象条件が収穫に悪影響を及ぼし、単収の低下を招く要因となっています。また、キャベツの生産量減少は、消費者の食の多様化や、需要の変化にも関連しています。特に、キャベツよりも他の野菜が好まれる傾向や、輸入品の増加も影響しています。しかし、近年は持続可能な農業へのシフトや省力化技術の導入が進んでおり、これらの技術革新が今後の産出量の回復に寄与することが期待されています。
全体の最大はキャベツの70.1t/haで、平均は33.6t/ha、合計は269t/ha
土地利用(野菜別)
2022年の日本における野菜の土地利用データでは、キャベツが最も広い面積で栽培されており、33.9千ヘクタール(kha)に達しています。これは、全体の約27.2%を占めており、キャベツが日本の野菜生産においていかに重要な位置を占めているかを示しています。平均的な野菜の土地利用面積は15.7千ヘクタール、合計で125千ヘクタールとなっており、キャベツがその中で突出した存在となっています。これまでの傾向として、キャベツは日本全国で広く栽培されており、特に主要な生産地である群馬県、千葉県、茨城県などが大規模に栽培されています。キャベツの高い需要と安定した消費市場が、これほど広い土地利用を支えています。しかし、近年は農業の効率化や都市化、農地の減少により、キャベツの栽培面積が徐々に縮小傾向にあります。それでもなお、他の野菜と比較してキャベツは土地利用の面で大きなシェアを占め続けています。また、日本の農業では、土地利用の最適化や省力化技術の導入が進んでおり、キャベツのように広範に栽培されている作物でも、品種改良や耕作方法の見直しが行われています。特に、気候変動に対応するための適応技術や、都市周辺での小規模・高効率な栽培が注目されています。今後は、持続可能な農業の推進に伴い、土地利用の形態にも変化が見られる可能性があります。
全体の最大は生産量の708ktで、平均は708kt、合計は708kt
トマト用途別
1961年のデータに基づくと、トマトの国内供給量は2.55百万トン(Mt)に達しており、これは現在の最大値として記録されています。この時期は、トマトの消費が急増し、生食用としての需要が高まったことが背景にあります。また、トマトの用途別では、生食用が圧倒的に主流であり、サラダや料理の付け合わせなど、家庭や外食で幅広く使用されていました。その後、トマトの生産と消費の傾向は多様化し、特に加工用トマトの需要が増加しました。これには、ケチャップやソース、ジュースなどの加工品が人気となり、加工用トマトの生産も拡大しました。1970年代以降、家庭での生食需要に加えて、外食産業や食品加工業の成長が、トマト市場を支える重要な要因となりました。近年では、トマトの用途別消費がさらに多様化し、ピザやパスタの材料としての需要増加、また健康志向の高まりによる生食やジュースとしての消費拡大が見られます。一方で、温暖化の影響や農業の効率化、品質向上技術の導入によって、トマトの栽培面積や収量も変動しています。トマトは日本の農業において、用途ごとの需要に応じた柔軟な生産体制が求められる作物であり、今後も消費者のニーズに対応した生産が進むことが予想されます。
全体の最大は国内供給の2.55Mt[2020年]で、現在の値はピーク時と比べ95.4%
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