日本の鉢もの類出荷量と収穫面積:需要の安定と課題

生産量(花卉)

概要

日本の鉢もの類の出荷量と収穫面積の最新データ(2022年)によれば、出荷量は1.81億鉢、収穫面積は145千アール(ka)である。近年の傾向として、鉢もの類は全国的に安定した需要を維持しており、都市部の園芸需要や観葉植物ブームなどが影響していると考えられる。また、農業の効率化や自動化技術の導入により、生産者は限られた面積でも高い生産量を維持することが可能になっている。一方で、近年の高齢化や後継者不足など、農業全体に共通する課題も存在し、特に地方での生産縮小が懸念されている。気候変動による影響も今後の大きな課題となっており、異常気象が生育に及ぼす影響を最小限に抑えるための対策が求められている。

きくの出荷量(主要データ)

日本の鉢もの類の出荷量は、1977年から2022年にかけて大きな変化を見せている。2004年には3.24億鉢というピークを記録したが、2022年にはその55.9%にあたる1.81億鉢まで減少している。この減少傾向の背景には、国内市場の需要減少や農業従事者の高齢化、後継者不足などの構造的な問題があると考えられる。また、都市化の進行や住宅事情の変化による園芸需要の変動、さらには安価な輸入品の影響も要因となっている可能性が高い。特にピーク時の2004年以降は、全国的に出荷量が減少する傾向が続いており、生産地域によってはさらに大きな影響を受けている。一方で、観葉植物の人気の高まりや新しいライフスタイルに合わせた商品開発など、今後の市場回復の余地も残されている。これらの課題に対応するための技術革新や効率化も重要な方向性となる。

きくの出荷量(主要データ)
農家さん

全体の最大は全国の20.8億本[1996年]で、現在の値はピーク時と比べ59%

きくの出荷量(都道府県別)

2022年のデータによれば、日本の鉢もの類の出荷量において、岩手県が151万鉢で最大の出荷量を記録している。これは地域特有の気候や土壌条件が、鉢もの類の栽培に適していることを示している。岩手県は、農業の多様性が高く、特に花卉や観葉植物の生産に力を入れており、出荷量の増加が見られる。その他の都道府県でも、出荷量の特徴として、関東や関西の都市圏に近い地域が競争力を持つ傾向がある。鉢もの類の市場は、近年、観葉植物やインテリアグリーンの需要が高まる中、消費者の嗜好に応じた商品開発が進んでいる。しかし、出荷量全体のトレンドとしては、依然として高齢化や後継者不足などの問題が影響しており、特に地方での生産維持が課題となっている。また、環境問題や気候変動の影響も無視できず、生産者はこれらの変化に適応する必要がある。今後は、地域特性を活かしながらも、効率的な生産方法や新たな販売チャネルの開拓が求められるだろう。鉢もの類は、都市部での生活空間の彩りとしての役割も果たしており、持続可能な農業の一環としての位置づけが重要視されている。

きくの出荷量(都道府県別)
農家さん

全体の最大は愛知の4.38億本で、平均は7990万本、合計は10.4億本

きくの作付面積(主要データ)

日本の鉢もの類の収穫面積は、1977年から2022年の間に顕著な変化を示している。2004年には220千アール(ka)という最大の収穫面積を記録したが、現在はその66.2%にあたる146千アールとなっている。この減少傾向は、国内農業全体に共通する高齢化や後継者不足、都市化の影響を受けている。特に、農業に従事する若者の減少や、地域経済の衰退が生産者に負担を強いており、鉢もの類の生産にも影響を及ぼしている。また、消費者のライフスタイルの変化に伴い、インテリアグリーンや観葉植物の需要が高まっている一方で、従来の鉢もの類の需要は減少傾向にある。さらに、効率的な生産技術や自動化が進む中、限られた面積での高生産を目指す生産者も増えている。しかし、気候変動や異常気象の影響も考慮する必要があり、生産者は環境に配慮した栽培方法の模索を迫られている。今後は、収穫面積の減少に対して、効率的な生産体制や新たなマーケティング戦略を導入し、持続可能な農業の確立が求められるだろう。鉢もの類は、都市生活を豊かにする重要な要素であり、その市場価値を高めるための取り組みが期待されている。

きくの作付面積(主要データ)
農家さん

全体の最大は全国の6.28kha[1999年]で、現在の値はピーク時と比べ65.2%

きくの作付面積(都道府県別)

2022年のデータによると、日本の鉢もの類の収穫面積は都道府県別で見ると、沖縄県が3.23千アール(ka)で最大の面積を誇っている。沖縄の気候は温暖で、豊かな自然環境が鉢もの類の栽培に適しており、特に熱帯植物や観葉植物の生産が盛んである。このため、沖縄は鉢もの類の主要生産地としての地位を確立している。一方で、鉢もの類の収穫面積全体においては、地域ごとの競争力や市場のニーズに応じた生産が求められる。都市化が進む中で、特に都市圏近郊ではインテリアグリーンや観葉植物の需要が高まっており、これに対応するために生産者は新たな栽培技術や販売戦略を模索している。しかし、高齢化や後継者不足、土地の利用効率の低下などの課題も浮き彫りになっており、特に地方では生産維持が難しくなっている。また、環境への配慮や持続可能な農業が求められる中で、栽培方法の見直しや新技術の導入が急務となっている。沖縄のように特定の地域における特色ある生産は、他地域でも生かされるべきであり、地域特性を活かした産業の振興が重要である。鉢もの類は、消費者の生活空間を豊かにする重要な要素であり、今後も市場の変化に柔軟に対応することが求められる。

きくの作付面積(都道府県別)
農家さん

全体の最大は愛知の1.28khaで、平均は87.1ha、合計は4.09kha

主要データ

切り花類(きく, 出荷量, 計) [億本]
全国 都府県 東海 愛知 九州 沖縄 関東・東山 福岡 東北 近畿
2022 12.27 4.38 2.17 0.68
2021 12.98 4.47 2.34 0.78
2020 13 4.41 2.35 0.8
2019 14.12 14.07 5.24 4.73 3 2.53 1.05 0.89 0.87 0.84
2018 14.24 4.53 2.56 0.96
2017 15.04 4.64 2.84 0.97
2016 15.14 15.1 5.2 4.67 3.3 2.8 1.22 0.93 0.99 0.9
2015 15.81 4.81 3 1
2014 15.73 4.6 2.91 1.07
2013 15.99 15.92 5.22 4.66 3.6 3.01 1.37 1.07 1.03 0.9
2012 15.95 4.59 2.73 1.07
2011 15.97 4.53 2.83 1.05
2010 16.6 16.52 5.25 4.65 3.88 3.08 1.45 1.08 1.02 0.98
2009 17.31 4.92 3.14 1.13
2008 17.92 5.14 3.15 1.19
2007 18.14 18.04 5.92 5.25 3.96 3.13 1.64 1.16 1.14 1.1
2006 18.57 5.24 3.24 1.12
2005 18.69 5.35 3.04 1.14
2004 18.67 18.58 6.04 5.24 4.11 2.96 1.81 1.19 1.06 1.29
2003 19.4 19.28 6.29 5.4 4.32 3 1.83 1.21 1.04 1.33
2002 19.64 6.35 5.4 4.4 2.93 1.91 1.26 1.04 1.38
2001 20.16 20.05 6.48 5.47 4.46 3 1.99 1.24 1.07 1.44
2000 20.28 20.16 6.51 5.47 4.51 2.94 2.01 1.29 1.06 1.42
1999 20.31 20.2 6.7 5.5 4.4 2.77 2.1 1.27 1.01 1.44
1998 20.02 5.27 2.81 1.26
1997 20.68 20.57 6.58 5.38 4.42 3.07 2.23 1.26 0.97 1.51
1996 20.81 5.32 3.07 1.22
1995 20.4 5.1 2.95 1.23
1994 19.89 19.75 6.08 4.91 4.18 2.8 2.31 1.21 0.89 1.54
1993 19.26 19.1 6 4.83 3.8 2.51 2.34 1.15 0.9 1.6
1992 19.11 18.93 5.52 4.31 4 2.25 2.38 1.17 0.89 1.66
1991 18.33 18.2 5.27 4.1 3.69 2.18 2.42 1.1 0.81 1.72
1990 17.88 17.77 5.03 3.89 3.6 2.14 2.4 1.16 0.79 1.73
1989 17.48 3.71 1.97 1.19
1988 16.68 16.58 4.58 3.44 3.33 1.69 2.37 1.06 0.7 1.84
1987 16.45 3.17 1.59 1.14
1986 16.23 3.15 1.51 1.14
1985 15.93 15.83 4.23 2.99 2.99 1.5 2.54 1.02 0.72 1.88
1984 15.53 2.93 1.26 1.04
1983 15.1 2.79 1.07 0.96
1982 15.28 2.77 0.94 0.97
1981 15.15 2.65 0.61 0.97
1980 14 2.56 0.22 0.79
1979 14.16 3.94 2.56 2.44 0.1 2.76 0.94 0.75 1.88
1978 13.55 3.88 2.49 2.2 0.06 2.63 0.78 0.56 1.93
1977 12.82 3.7 2.45 2.1 0.04 2.51 0.8 0.44 1.78
1976 12.38 3.43 2.25 1.95 0.04 2.48 0.75 0.51 1.68

引用

政府統計の総合窓口-作況調査-1, 政府統計の総合窓口-作況調査-2

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