日本の花木類鉢もの類出荷量と収穫面積:需要の安定と効率化

生産量(花卉)

概要

日本の鉢もの類(花木類)の出荷量と収穫面積の傾向について、2022年のデータによると、全国での出荷量は3120万鉢、収穫面積は29千アール(ha)に達しています。これらのデータは過去数年の傾向を示しており、鉢もの類は依然として一定の需要を維持していますが、収穫面積に対して出荷量がやや安定していることが見受けられます。出荷量が最大であっても、収穫面積の大きな拡大は見られないため、生産効率の向上や消費者の嗜好に合わせた品種改良が進んでいると考えられます。また、国内市場の高齢化や花卉業界全体の縮小に伴い、農家が効率化を追求し、特定の花木類に集中している可能性もあります。都市部でのガーデニング需要や贈答用など、国内需要の変動にも影響されていることが背景にあります。

きくの出荷量(主要データ)

日本の鉢もの類(花木類)の出荷量は、1980年から2022年のデータに基づいて、2001年に全国で6010万鉢のピークを迎えましたが、2022年には3120万鉢とピーク時の51.9%まで減少しています。この減少傾向の特徴として、まず国内の人口減少と高齢化が挙げられます。贈答用や観賞用の需要が減少し、都市化の進展で庭やガーデンスペースを持つ家庭が減少していることが影響しています。また、輸入花木の増加に伴う国内産業の競争力低下や、若い世代の購買意欲の低下も一因とされています。さらに、農業従事者の高齢化や後継者不足による生産規模の縮小も影響しています。こうした背景から、花木類の市場規模が縮小し、ピーク時に比べて出荷量が大幅に減少しているのが近年の特徴といえます。

きくの出荷量(主要データ)
農家さん

全体の最大は全国の20.8億本[1996年]で、現在の値はピーク時と比べ59%

きくの出荷量(都道府県別)

2019年の日本における鉢もの類(花木類)の出荷量に関する都道府県別データによると、青森県が56.7万鉢で最大の出荷量を記録しています。この傾向は、青森が気候条件や土地の特性を活かし、花木類の栽培に適した環境を提供していることを示しています。特に、冷涼な気候が花木の生育に適し、品質の高い製品が生産されていることが要因の一つと考えられます。全体的な傾向としては、都道府県ごとに気候や地理的条件に応じた特定の花木類が栽培され、地域の特産品としての地位を確立しているケースも見られます。しかし、出荷量の増加が限られている県もあり、鉢もの市場全体の縮小や国内需要の変化も影響している可能性があります。これにより、青森のように特定の地域が品質と出荷量の両方で目立つ一方で、他の地域では生産規模の縮小が進んでいるという二極化が見られます。

きくの出荷量(都道府県別)
農家さん

全体の最大は愛知の4.38億本で、平均は7990万本、合計は10.4億本

きくの作付面積(主要データ)

日本の鉢もの類(花木類)の収穫面積は、1980年から2022年にかけて、2000年に全国で49.1千アール(ha)のピークを記録しましたが、2022年には29千アールまで減少し、ピーク時の59.1%となっています。この減少傾向の主な要因には、国内の農業従事者の高齢化や後継者不足による生産者数の減少が挙げられます。また、国内市場における需要の低下や、輸入花木との競争が激化したことも影響しています。さらに、消費者のライフスタイルの変化により、家庭やオフィスでの花木の利用が減少していることも面積縮小の要因です。都市部でのガーデニングスペースの減少や、若年層の関心の薄れも、この傾向を助長しています。これに対し、一部の地域では付加価値の高い品種や新たな栽培技術を導入して、規模の縮小に対する対策を講じていますが、全体としては収穫面積の縮小が続いています。

きくの作付面積(主要データ)
農家さん

全体の最大は全国の6.28kha[1999年]で、現在の値はピーク時と比べ65.2%

きくの作付面積(都道府県別)

2022年の日本における鉢もの類(花木類)の収穫面積の都道府県別データでは、沖縄県が182アール(a)で最大の収穫面積を記録しています。沖縄県が最大である理由には、温暖な気候を活かした花木類の栽培が盛んなことが挙げられます。特に沖縄は、冬季も温暖なため、一年を通じて花木の栽培が可能であり、他の地域よりも長期間にわたって出荷が行える点が有利です。また、沖縄では観光業が盛んであり、ホテルやリゾート施設などでの花卉需要が高く、地元で生産された鉢ものが活用されることも収穫面積の大きさに影響していると考えられます。全国的な傾向としては、収穫面積はピークから縮小していますが、地域ごとの特性に応じて生産が集中している地域が目立ちます。特に沖縄のような気候条件に恵まれた地域では、効率的な生産と地域需要の融合が生産規模の維持や拡大に寄与しているといえます。

きくの作付面積(都道府県別)
農家さん

全体の最大は愛知の1.28khaで、平均は87.1ha、合計は4.09kha

主要データ

切り花類(きく, 出荷量, 計) [億本]
全国 都府県 東海 愛知 九州 沖縄 関東・東山 福岡 東北 近畿
2022 12.27 4.38 2.17 0.68
2021 12.98 4.47 2.34 0.78
2020 13 4.41 2.35 0.8
2019 14.12 14.07 5.24 4.73 3 2.53 1.05 0.89 0.87 0.84
2018 14.24 4.53 2.56 0.96
2017 15.04 4.64 2.84 0.97
2016 15.14 15.1 5.2 4.67 3.3 2.8 1.22 0.93 0.99 0.9
2015 15.81 4.81 3 1
2014 15.73 4.6 2.91 1.07
2013 15.99 15.92 5.22 4.66 3.6 3.01 1.37 1.07 1.03 0.9
2012 15.95 4.59 2.73 1.07
2011 15.97 4.53 2.83 1.05
2010 16.6 16.52 5.25 4.65 3.88 3.08 1.45 1.08 1.02 0.98
2009 17.31 4.92 3.14 1.13
2008 17.92 5.14 3.15 1.19
2007 18.14 18.04 5.92 5.25 3.96 3.13 1.64 1.16 1.14 1.1
2006 18.57 5.24 3.24 1.12
2005 18.69 5.35 3.04 1.14
2004 18.67 18.58 6.04 5.24 4.11 2.96 1.81 1.19 1.06 1.29
2003 19.4 19.28 6.29 5.4 4.32 3 1.83 1.21 1.04 1.33
2002 19.64 6.35 5.4 4.4 2.93 1.91 1.26 1.04 1.38
2001 20.16 20.05 6.48 5.47 4.46 3 1.99 1.24 1.07 1.44
2000 20.28 20.16 6.51 5.47 4.51 2.94 2.01 1.29 1.06 1.42
1999 20.31 20.2 6.7 5.5 4.4 2.77 2.1 1.27 1.01 1.44
1998 20.02 5.27 2.81 1.26
1997 20.68 20.57 6.58 5.38 4.42 3.07 2.23 1.26 0.97 1.51
1996 20.81 5.32 3.07 1.22
1995 20.4 5.1 2.95 1.23
1994 19.89 19.75 6.08 4.91 4.18 2.8 2.31 1.21 0.89 1.54
1993 19.26 19.1 6 4.83 3.8 2.51 2.34 1.15 0.9 1.6
1992 19.11 18.93 5.52 4.31 4 2.25 2.38 1.17 0.89 1.66
1991 18.33 18.2 5.27 4.1 3.69 2.18 2.42 1.1 0.81 1.72
1990 17.88 17.77 5.03 3.89 3.6 2.14 2.4 1.16 0.79 1.73
1989 17.48 3.71 1.97 1.19
1988 16.68 16.58 4.58 3.44 3.33 1.69 2.37 1.06 0.7 1.84
1987 16.45 3.17 1.59 1.14
1986 16.23 3.15 1.51 1.14
1985 15.93 15.83 4.23 2.99 2.99 1.5 2.54 1.02 0.72 1.88
1984 15.53 2.93 1.26 1.04
1983 15.1 2.79 1.07 0.96
1982 15.28 2.77 0.94 0.97
1981 15.15 2.65 0.61 0.97
1980 14 2.56 0.22 0.79
1979 14.16 3.94 2.56 2.44 0.1 2.76 0.94 0.75 1.88
1978 13.55 3.88 2.49 2.2 0.06 2.63 0.78 0.56 1.93
1977 12.82 3.7 2.45 2.1 0.04 2.51 0.8 0.44 1.78
1976 12.38 3.43 2.25 1.95 0.04 2.48 0.75 0.51 1.68

引用

政府統計の総合窓口-作況調査-1, 政府統計の総合窓口-作況調査-2

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